-  デザイン

カートボタンを商品一覧ページに設置する理由

デザインに込めた仮説と判断

こんにちは。TRYANGLEクリエイティブチームの小島です。
今回は、ECサイトのUI設計において多くの場合、検討が必要となる重要な要素「商品一覧ページへのカートボタンの設置」について、私たちがどのように考え、判断しているかをご紹介します。

ECサイトにおいて、商品一覧ページにカートボタンを設置するかどうかは、UI設計上の細部に見えて、実は成果に直結する重要な判断です。

あるプロジェクトでは、以下のような仮説をもとに「商品一覧ページにカートボタンを設置する」設計を行いました。

  • ユーザーは複数商品をまとめて購入する傾向がある
  • 商品はビジュアルと簡易情報で十分に判断できる
  • 詳細ページへの遷移は、かえって購入意欲を分断する可能性がある
  • 一覧から直接カート追加できれば、購入までのスピードが高まる

ただし、この導線設計がすべてのECにそのまま適用できるわけではありません。

たとえば、比較的説明が不要な低価格帯の日用品やリピート商品では、一覧ページへのカートボタン設置が非常に有効です。

一方で、高価格帯商品や一点もの、スペックやコンセプトの理解が購入判断に強く影響する商品では、詳細ページでの丁寧な情報設計が欠かせません。

つまり、カートボタンの配置は「あるべき場所に置く」のではなく、誰に・何を・どう買ってもらいたいかという文脈の中で判断すべきです。

また、クライアントがデザイン上の理由から、商品一覧ページへのカートボタン設置を望まれないケースもあります。
このような場合、TRYANGLEでは仮説に基づいた実装後、アナリティクスチームによる使用状況の分析を実施します。
実際に、あるサイトでは、全体のカートインのうち約80%が商品一覧ページのカートボタン経由であることが明らかになりました。
この分析結果をクライアントに共有し、デザインの意図とユーザーの実際の行動を照らし合わせながらご説明したことで、最終的にはカートボタンの設置が正式に採用されました。

最適なUI提案

私たちは、商品の特性やユーザーの行動特性を読み取り、仮説を立てた上で、それぞれのケースに最適なUI構成を提案しています。
もちろん、設置そのものに留まらず、視認性やタップ領域、画面内での視線誘導まで含めて、細部にわたる設計調整も丁寧に行っています。
TRYANGLEのデザインは、「便利だからそうした」のではなく、ユーザー体験と事業成果の両面から導かれる、意図ある選択です。

UIの一つひとつに理由があること。
その積み重ねこそが、私たちの考えるデザインの本質です。